ポーランド・日本投資フォーラ2025-ポーランドに新たな投資家を誘致するチャンス

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2025年9月30日にポーランド・日本投資フォーラムが開催されました。これは、2025年大阪・関西万博へのポーランド共和国の出展に伴う最も重要な経済イベントの一つです。ポーランドと日本企業、業界団体、政府機関、メディア関係者など400名以上が参加しました。

「ポーランドは現在、安定した確固たる経済基盤を持ち、戦略的な立地条件と高い資格を持つ労働力を備えています。両国は大きく離れているにもかかわらず、多くの共通点があります。ポーランドと日本は国民の勤勉さと起業家精神によって経済成長を築いてきました。どちらの国も天然資源に恵まれているわけではありませんが、より重要な共通点があります。それは、勤勉さと革新的な思考力です。2025年大阪・関西万博はまもなく閉幕しますが、ポーランドの出展は大成功だったと誇りを持って言えます」と、2025年大阪・関西万博ポーランド政府代表のヤツェク・トムチャクは述べました。

また、ポーランド共和国元首相のヤン・クシシュトフ・ビエレツキ氏は、ポーランドが欧州で果たしている特別な役割を次のように強調しました。

「私は今から34年前に経団連の招待で東京を訪れました。当時は、ポーランドの変革期において最も困難な時でした。日本では温かい歓迎をうけ、私の訪日は高く評価されました。こうして、レフ・ワレサ氏が変革の初期に最大の夢と表現した『ポーランドを第二の日本に』の実現に向けた取り組みが始まりました。今日、ポーランドのGDPはスイスを上回り、急速かつダイナミックに発展しています。さらに、ポーランドはEUとNATOへの加盟も果たしました。この成功には、2つの大きな要因が影響を与えたと考えています。それは、外国直接投資とEUからの開発基金、そしてポーランドに根付く起業家精神です。今日、私たちは経済を次の段階に引き上げなければなりません。ロシアが国際秩序とウクライナの領土保全を損なおうとしている困難な時期に、我々はこれを実現しなければなりません。だからこそ、今日、私たちは軍民両用技術に関する協力について議論しなければならないのです。これはまさに、不確実性が高まる時代に私たちが考えなければならないことです。」

ポーランド・日本投資フォーラムのプログラム

ポーランド・日本投資フォーラムは、日本の起業家の間でのポーランド投資プロジェクトの促進、ビジネスおよび機関間の関係構築、そしてポーランドと日本の協力強化を目的とした、権威ある協力プラットフォームです。ポーランド市場のポテンシャル、言い換えれば時間、資源、そしてエネルギーを投資する価値のあるアイデアを紹介するまたとない機会です。ポーランド・日本投資フォーラムの主なテーマは、運輸・物流・エネルギー開発に関する取り組み、再生可能エネルギー源、エネルギー効率、循環型経済、環境イノベーション分野におけるソリューション、ウクライナの将来の復興と近代化における重要な要素としてのポーランドへの投資、そして中東欧地域におけるサービス開発支援などです。

このイベントでは、特別なネットワーキングと展示スペースが設けられました。

  •  投資支援ゾーン:ポーランド全国の経済特区、中央交通ハブCPK、そしてグダニスク港からの投資提案ブース
  • グリーンテクノロジーゾーン:持続可能な開発のための革新的なソリューション

その他、以下の展示コーナーも設けられました。

  • ポーランドの未来を担う製品:ポーランド企業開発庁主催の第26回ポーランド未来製品コンペティションでポーランド投資・貿易庁特別賞を受賞したPolbionica社による展示
  • AGH科学技術大学宇宙システムプログラムの一環として開発されたGraviTE(無重力組織工学)プロジェクト

フォーラムの開会式には、以下の方々がポーランドを代表して出席しました

  • ヤツェク・トムチャク 2025年大阪・関西万博ポーランド政府代表
  • ミハウ・ヤロス 開発・技術省副大臣
  • ヤン・クシシュトフ・ビェレツキ 元首相 
  • コンラッド・ゴウォタ 国有財産省国務次官
  • ラファウ・ロシンスキ デジタル省国務次官
  • アンジェイ・ディハ ポーランド投資・貿易庁長官

さらに、日本のビジネス団体の代表者のスピーチもありました。

♦ 信谷 和重 経済産業省近畿経済産業局長

♦ 鳥井 信吾 大阪商工会議所会頭 

♦ 片岡 進 日本貿易振興機構(JETRO)副理事長

開会の挨拶において、ポーランドからの代表者はポーランド・日本投資フォーラムの戦略的パートナーであるトヨタ自動車株式会社のポーランドにおける長期的プレゼンスを含め、変革後のポーランド経済の形成における日本企業の投資の重要な役割を強調しました。

「ポーランドと日本は長年にわたり素晴らしい協力関係を築いてきました。ポーランドの経済改革後、日本企業はポーランドへの最初の外国投資企業となりました。それらの進出はポーランド経済の近代化に貢献しただけでなく、永続的な雇用を創出し、品質基準を向上させ、ポーランドのグローバルバリューチェーンへの統合プロセスを加速させました。日本のあらゆる製品は、ポーランド人に最高の品質、信頼性、そして精度、ジャストインタイムの理念、そして『KAIZEN』の理念を想起させます。これらは、ポーランドの産業や機関にも刺激を与える価値観であり、ポーランド企業はますます日々の業務に取り入れようと努めています。ドルニィ・シロニスク地方では、日本企業が地域に溶け込み、数千人の雇用を創出し、地域社会全体の発展に貢献しています。私は先日、ヴァウブジフ市にあるトヨタ自動車株式会社の工場を訪問しました。また、昨日はトヨタ自動車の元町工場を訪問する機会に恵まれました。両国での工場訪問は、共通の産業経験がいかに私たちを近づけているか、ポーランドのエネルギーがいかに自然に日本の精密さと相互作用しているか、そして技術、労働組織、ビジネス文化の面で、私たちがお互いからどれだけ学べるかを私に示してくれました」とポーランド開発・技術省のミハウ・ヤロス副大臣は強​​調しました。

日本側はまた、ポーランドとの更なる協力に大きな可能性があると強調しました。

大阪商工会議所会頭の鳥居信吾氏は、「現在のポーランドは、科学技術産業、半導体、先端技術、自動車、ICTの分野での発展が目覚ましいです。あと数年以内に、生成AIがあらゆる産業に入ってくる時代がやってきます。現在、この分野では中国と米国が先行していますが、我々も負けるわけにはいきません。今後、ポーランド企業と日本企業とが連携をする大きな可能性がございます。」とご挨拶の中で述べられました。

さらに、JETROの片岡進副理事長は「JETROは、日本企業の海外ビジネス展開だけではなく、外国企業の対日投資あるいは日本でのビジネスパートナー探しなども支援をさせていただいています。56の国に76の事務所を構えておりまして、欧州だけでも14の国に16の事務所を構えています。もちろんワルシャワにも事務所がございまして、この事務所は1975年に設立されています。1975年ですので、実は今年が設立50周年となります。50年間にわたりましてJETROワルシャワ事務所、日本企業とポーランド企業の架け橋として活動し、現在では、最も忙しいあるいは最も業務量の多い事務所の一つとなっています」と述べられました。

フォーラムのプログラムには、ウクライナの発展と復興の支援という観点からも、ポーランドと日本の戦略的パートナーシップに関する数多くのパネルディスカッションやプレゼンテーションが盛り込まれました。

ポーランド・日本投資フォーラムのパネルディスカッションでは、ポーランドと日本の経済・投資協力に焦点が当てられました。最初のディスカッションでは、宇宙探査における共同イニシアチブについて議論が行われました。欧州宇宙機関(ESA)の役割から二国間プロジェクト、ポーランドの宇宙産業の発展、そしてロボット工学とAIの可能性まで、様々な観点から議論が行われました。続くセッションでは、ポーランドの競争優位性における人的資本の重要性が強調され、特にITとビジネスサービス分野における先端技術産業の優秀な専門人材、そして同国の規制の安定性と経済の開放性の向上が指摘されました。最後のパネルでは、アジアの投資家にとってヨーロッパへのゲートウェイとしてのポーランドの役割が強調され、特に商業用不動産市場と有利な税制・規制条件が紹介されました。

「宇宙探査におけるポーランドと日本の協力:革新、技術、そして新たな展望」と題したパネルの特別ゲストは宇宙飛行士のスワヴォシュ・ウズナンスキ博士でした。パネリストの一人として、国際協定に基づくプロジェクトの実施に関連する機会と限界の両方について聴衆に紹介しました。その中で同氏は、次のように述べました。

「日本での宇宙渡航に向けた研修は私にとって素晴らしい経験でした。筑波で1週間過ごし、日本文化を体験する初めての機会となりました。以前、欧州合同原子核研究機関(CERN) でエンジニア兼科学者として日本人と働いた経験はありましたが、その時とは全く異なるものでした。日本滞在中に、初めて日本の労働文化を体験する機会を得たのです。日本のパートナーの皆様には、温かく迎えていただき、貴重な知識を共有していただき、多くの質問に答えていただき、大変感謝しています。ミッション前に筑波管制センターの方々とお会いできたことは、ミッション中のコミュニケーションを最も効果的に行う上で非常に役立ちました。人間関係は非常に重要です」

投資フォーラムには政治、外交、科学の各界代表者も多数出席し、パネルディスカッション、テーマ別セッション、他のゲストとのディスカッションの中で、ポーランドの開発計画の次のステップについて意見交換を行いました。

主要出席者:

  • モニカ・ヴィエリホフスカ ポーランド下院議会副議長
  • クシシュトフ・ヘトマン 欧州議会議員
  • ⁠マグダレナ・スカルジンスカ ポーランド投資・貿易庁副長官
  • パヴェウ・プドウォフスキ ポーランド投資・貿易庁副長官
  • ウカシュ・グウィアズドフスキ ポーランド投資・貿易庁副長官
  • ミロスワフ・チェカイ BGK総裁
  • バルトウォミエイ・バブシカ ポーランド企業開発庁会長
  • フィリップ・チェルニツキ CPK社長
  • バルトシュ・ブロフ グダニスク港商業部長
  • ⁠ヨランタ・ギジュク=ジェンバ議員
  • ⁠カタジナ・スタホビチ議員
  • ⁠コンラド・フロントチャク議員
  • ⁠ミハウ・クラフチク議員
  • スワヴォシュ・ウズナンスキ=ヴィシニエフスキ博士

さらに、投資フォーラムにおいて、ASTOR社と川崎重工業は、教育用ロボット「Astorino」の更なる開発と商業化に関するグローバル契約を締結しました。ポーランド・日本投資フォーラムでのスピーチにおいて、川崎重工業株式会社の坂東賢二執行役員は、両社が次世代のイノベーション創出の場を作るうえで果たす重要な役割を強調しました。この契約により、両社は国際市場における新たな取り組みを推進することが可能となります。

川崎重工業株式会社の坂東賢二執行役員は、次のように述べました。「欧州と日本は、少子高齢化という共通の社会課題に直面しています。こうした状況において、私たちの最も喫緊の課題の一つは、次世代のロボットエンジニアの育成です。」

また、ポーランドのジェロナ・グラに拠点を置くPolbionica社の画期的なソリューションに、日本企業の大きな関心が集まりました。。同社は、1997年からポーランド企業開発庁が主催する「第26回ポーランド未来製品コンペティション」でポーランド投資・貿易庁特別賞を受賞しました。受賞製品は、世界初の完全血管化3Dバイオプリント臓器「バイオニック膵臓(cATMP)」でした。この臓器は、適切な栄養循環と細胞酸素供給を実現します。

ポーランド・日本投資フォーラムは、2025年関西・大阪万博におけるポーランドのプレゼンスの一環として開催される最も重要なイベントの一つです。このフォーラムは、外国投資にとって無限の可能性を秘めた投資先としてのポーランドのポテンシャルを示すポーランドパビリオンの使命を展開するものです。4月13日のパビリオン開館以来、ポーランドパビリオンは絶大な人気を博しています。来館者数は既に100万人を超えており、ポーランドとその経済的可能性に対する世界的な関心の高さを物語っています。

「ポーランドパビリオンに行ってまいりましたが、そのテーマは『未来を切り拓く遺産』でした。ポーランドの自然やデザインの背景には、先端技術がありました。ポーランドへの関心は文化や観光だけにとどまりません。ビジネス分野にも広がっています。ポーランドは、製造業、特に自動車産業やICT分野など、多くの分野で大きな可能性を秘めています。既に多くの日本企業がポーランドに投資しており、日本との協力関係を発展させる大きな機会が存在します。本日のフォーラムがポーランドの魅力を再発見し、日本企業との新たな共同事業につながる機会となることを期待しています」と、大阪商工会議所の鳥居信吾会頭は述べました。

主催者とパートナー

大阪で開催されたしポーランド・日本投資フォーラムの主催者は、ポーランド投資・貿易庁でした。プログラム作成と広報では、駐日ポーランド共和国大使館、ポーランド開発・技術省、日本国経済産業省、一般社団法人日本経済団体連合会、ジェトロ(日本貿易振興機構)、日欧産業協力センター、一般財団法人海外投融資情報財団、株式会社日本貿易保険(NEXI)、ポーランド開発基金(PFR)、ポーランド輸出信用保険公社(KUKE)、ポーランド企業開発庁(PARP)、BGK、国際協力銀行(JBIC)、大阪商工会議所(OCCIJ)、株式会社日立製作所、トヨタ自動車株式会社よりご協力を賜りました。

フォーラムの全プログラム:https://expo.gov.pl/wp-content/uploads/2025/09/FIN-Polish-Japanese-Investment-Forum-30.09_ENG-7.pdf

ギャラリー

配信映像のアーカイブ:英語版 日本語版

Fot: A. Stykowski

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