2025年大阪・関西万博― 医療・製薬分野におけるポーランドと日本の協力の展望

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医療・医薬品産業は、2025年大阪・関西万博におけるポーランドにとっての6つの重点分野のひとつでした。急速に発展する医療技術と製薬の世界において、ポーランドと日本は協業の可能性をますます明らかになっています。

ポーランド共和国開発・技術省によると、医療・医薬品産業は日本との協業において最も有望な領域のひとつです。ポーランドはすでに、強固な学術基盤、急成長する医療系スタートアップ市場、そしてe-Health、医療ロボティクス、診断、ジェネリック医薬品の分野で成功裏に輸出を行う企業を有しています。世界市場でも、ポーランドの医療機器、バイオテクノロジー、医薬品メーカーの知名度と競争力が高まっています。

両国は協業による実質的な付加価値を見据えています。ポーランドはイノベーションとコスト効率を提供し、日本は先端技術市場とグローバル展開の経験を有しています。

ポーランド、MEDTEC Japan 2025 に出展

2025年4月9日〜11日、東京で日本最大の医療技術見本市「MEDTEC Japan」が開催されました。ポーランド投資・貿易庁が主催したポーランドブースには、診断機器、インプラント、バイオ医療材料、医療ITソリューションのメーカーが集まりました。

出展したポーランド企業の代表者は、「日本は要求水準が高いが、非常に魅力的なパートナーだ」と口を揃えます。高い品質・技術基準がポーランド企業によるさらなる製品開発と認証取得を日本企業側が促進し、ポーランド側は代わりに価格と品質の優れたバランス、そして柔軟な対応力を提供することで評価を得ています。

国際貿易センター(ITC)のデータによると、2015〜2023年の間にポーランドの対日輸出における医療・製薬分野の割合は1.8%から4.5%に増加しました。一方、日本からポーランドへの輸入における同分野の比率は約2.5%で推移しています(出典:ポーランド投資・貿易庁作成レポート

「United for Saving Lives」― 未来の医療に向けた共創

ポーランドのEU理事会議長国任期の締めくくりとして、2025年6月26日に大阪で開催された医療・医薬品業界カンファレンス「United for Saving Lives(命を救うための連帯)」には、ポーランドと日本の研究機関、テクノロジー企業、スタートアップ、専門家が集まり、医療の未来とグローバルな課題解決について議論しました。

新技術や革新的治療法、国際協力を通じていかに人々の生活の質と寿命を高めるかをテーマにディスカッションが行われました。カンファレンスではさらに、革新的治療、遠隔医療、バイオエンジニアリング、診断支援技術など、ポーランドの最新成果も紹介されました。

メンタルウェルビーイングをテーマにしたポーランドパビリオンでのディスカッション

2025年6月30日、大阪・関西万博ポーランドパビリオンではポーランド「親切の日」に合わせて、EU理事会議長国任期の締めくくりとなる国際会議が開催されました。テーマはメンタルウェルビーイング、すなわちいかにして社会全体の感情的・心理的レジリエンスを高めるか、についてでした。

ポーランド投資・貿易庁副所長でポーランドパビリオン責任者のマグダレナ・スカルジンスカ氏は、「困難の多い現代社会において、特に子どもや若者の精神的健康は、健全な人間関係と強いコミュニティの基盤である」と強調しました。

同会議では、子どもの感情教育や金融教育、障がい者の社会参加、医療従事者のメンタルヘルスなど、幅広いテーマが議論されました。

特別ゲストとして、ポーランド最大の非営利医療支援団体「クリスマス慈善大楽団(WOŚP)」代表のイェジ・オフシャク氏が登壇し、日常生活の中での共感、寛容、創造性の大切さを訴えました。この会議は、ポーランドパビリオンが所在したエリア「Saving Lives」ゾーンの理念を象徴するものとなりました。

ポーランドパビリオンにおける医療・製薬のイノベーション

大阪・関西万博において、ポーランドパビリオンは6か月間にわたりポーランド経済の「世界への窓」として機能しました。医療・製薬分野はその中でも重要な位置を占めており、展示ではリハビリ用ロボット技術、医療分野の3Dプリンティング、AI診断、次世代医薬品やサプリメントなどの革新的ソリューションが紹介されました。

また、経済プログラムの一環として、業界イベント、B2Bミーティング、製品・技術のプロモーション活動も実施されました。

グローバル課題への共通の応答として

これまでのポーランド・日本間貿易の傾向を分析すると、両国の協業拡大の最も大きな可能性は、ポーランド製整形外科機器および医薬品の輸出です。これらの製品群は相互貿易の中でも大きな割合を占め、その取引規模も着実に拡大しています。

医療・医薬品分野でのポーランド・日本のコラボレーションは、経済的利益をもたらすだけでなく、少子高齢化、医療従事者不足、医療費の増大、医療サービスのデジタル化といった現代社会の課題に対する共通の解決策でもあります。

両国は「QOLの向上」という共通の理念のもとに近づきつつあり、その理念はポーランドパビリオンの展示やビジネス関連展示を通じて来館者に伝えられました。

行政、研究機関、企業の協力により、2025年大阪・関西万博ではノウハウ移転、投資、共同研究開発プロジェクトなどの新たな可能性が開かれました。医療・製薬分野は未来を支える柱のひとつとして、ポーランドと日本のパートナーシップの象徴となる可能性を秘めています。

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