2025年大阪・関西万博に響き渡るポーランド音楽の多彩な表情

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多様な音色を持つ、ポーランドのアーティストによる音楽。2025年大阪・関西万博で、そのすべてが響き渡ります。ポーランドパビリオンをはじめ、ポーランド共和国が主催する数々のイベントは、クラシック、ジャズ、フォーク、ヒップホップ、エレクトロニカといった幅広い音楽ジャンルが共鳴する音の空間となります。伝統に根ざしつつも、未来のリズムを奏でる―それがポーランドの音楽が語る物語です。

ポーランドパビリオンは、国際的な文化交流の舞台です。2025年大阪・関西万博におけるポーランドの文化プログラムでは、100件近いイベントが予定されています。たとえば、「ショパン・ウィーク」、若手ジャズシーンによる「Jazz from Poland in Japan 2025」、そして日本で初開催となるエレクトロニカ・フェスティバル「Unsound」などが挙げられます。いずれのイベントも現代ポーランド文化の多様性と芸術性の高さを象徴しています。

世界初演の交響詩「Symbiosis」でポーランドのEU議長国任期を締めくくる

6月30日には、ポーランドのEU議長国任期の締めくくりとして、特別コンサートが開催され、L.U.Cことウカシュ・ロストコフスキによる交響詩「Symbiosis」が世界初演されました。

L.U.Cは、数々の受賞歴を持つ作曲家・プロデューサーであり、アメリカの雑誌『Variety』により、2023年に世界の優れた映画音楽作曲家15人の一人として選出されました。交響詩「Symbiosis」は、クラシック音楽、エレクトロニカ、フォークを融合させた楽曲であり、象徴的な絵画の手描き複製による映像と組み合わされています。これらの映像は、アニメーション映画『ゴッホ 最期の手紙』(2018年アカデミー賞ノミネート)や『農民』(2023年ポーランド代表・国際長編映画賞ノミネート)を手がけた、オスカー受賞スタジオ BreakThru Films によって制作されました。

この壮大なパフォーマンスには、日本、ポーランド、ウクライナ、ドイツ、フランス、イギリス、スペイン、イタリアから集まったアーティストがL.U.C主宰の国際ビッグバンドRebel Babel Orchestraとして参加。大阪のアマービレフィルハーモニー管弦楽団も共演し、国際協力の力を音楽で体現しました。

「この交響詩は、ヨーロッパという共同体の物語を、音楽と映像で紡ぎ出す試みです。ポーランドはその中で、共感と連帯を理解する国として、重要な役割を担っています。この物語は、洞窟壁画や古代ギリシャ・ローマから始まり、ショパンやバッハの旋律を経て、ベルリン・テクノやCatz’n Dogzによる現代エレクトロニカへと続きます」L.U.Cことウカシュ・ロストコフスキは語ります。さらに、次のように続けます。

「交響詩「Symbiosis」は、ヨーロッパという共同体、価値観、そして共生がいかに大きな努力によって築かれてきたかを思い起こさせることを目的に、数十名のアーティストが16か月間にわたり取り組んだ集大成です。オーケストラ奏者は、個々の国家や理念のメタファーであり、全体としてのオーケストラは調和の中で共に奏でる術を学ぶ存在となりました。この場にご招待いただき、大きな信頼を寄せていただいたことに感謝しています。2025年大阪・関西万博での素晴らしい反響、そしてアーティスト同士の間に築かれた関係性を心から嬉しく思います。」

映画『農民』が蘇る ― 「農民の踊り Rimixed」

2025年9月4日、2025年大阪・関西万博の「若きポーランドデー」において、映画『農民(原題:Chłopi)』の音楽を手がけたL.U.Cによる楽曲を基に構成された、オーディオビジュアル作品『農民の踊り Rimixed』を鑑賞することになります。映画『農民』は、ドロタ・コビエラ=ウェルチマンヒュー・ウェルチマンが監督を務めたBreakThru Filmsの作品であり、2024年のアカデミー賞においてポーランド代表として出品された作品です。なお、同監督らはすでにアニメーション映画『ゴッホ 最期の手紙』でアカデミー賞にノミネートされた実績を持ちます。

『農民の踊り Rimixed』は、19世紀末から20世紀初頭のポーランドの農村世界を、現代的な表現手法のプリズムを通して再解釈し、観客に提示する作品です。このマルチメディア・ショーは、アコースティックな民族音楽とエレクトロニカ、19世紀の絵画と現代的なライティング演出、そして伝統的な舞踊と現代パフォーマンスを融合させたものです」とL.U.Cことウカシュ・ロストコフスキは語ります。さらに、次のように続けます。
「今回、この作品を日本で紹介できることをとても嬉しく思っています。このプロジェクトは、スラブ文化を愛する人々の心を世界中で掴んできました。そしてそもそも映画『農民』自体が、比類なき現象的な作品であり、これに匹敵するものはしばらくは誕生しないでしょう。観客の反響を受けて、私たちはこの作品に着想を得て、ダンス、文学、映画、絵画、アニメーション、音楽、衣装といったあらゆる分野の芸術を融合させたショーを創り上げることを決めました。5年にわたる壮大な創作の冒険となりました」

『やさしい弦』― ナタリア・ククルスカ、大阪でショパンを歌う

2025年8月29日、大阪にて開催される「ショパン・ウィーク」の一環として、歌手のナタリア・ククルスカポーランド国立フィルハーモニー管弦楽団と共にパフォーマンスを行います。フリデリク・ショパンの作品を言葉で表現した、世界初の試みとなる特別なプロジェクト『やさしい弦(原題:Czułe struny)』を披露します。

セットリストに選ばれたショパンの楽曲は、初めて歌詞付きの交響作品として再構成されました。マエストロによるクラシックの名作が、30の楽器による新たなアレンジで蘇ります。『やさしい弦』大阪公演は、ポーランドが誇る偉大な作曲家の作品を、日本の観客に向けて、現代的でありながらも親しみやすく、そして深い感情を伴った形で紹介する、またとない機会となるでしょう。

『Papaya』ー2025年大阪・関西万博で出会うジャズ、そして新たな響き

2025年9月5日、「世代を超えたダンスと音楽の日」に、伝説的なポーランドのジャズシンガー、ウルシュラ・ドゥジャクが大阪にやってきます。ウルシュラ氏は、長年ワルシャワのバレエシーンで活躍し、ポーランド国立バレエのスターでもある日本人バレエダンサー・海老原由佳と共に、ウーマンズパビリオンでのトークイベントに参加し、来場者に向けてインスピレーションあふれるスピーチを行います。その後、ポーランドパビリオン前のステージで、ウルシュラ氏は観客と一緒に代表曲である『Papaya』を披露します。この曲はポーランド国内にとどまらず、アメリカや韓国などでも人気を博した時代を超えたヒットソングです。ウルシュラ・ドゥジャク2025年大阪・関西万博への出演は、世代を超えた音楽的つながりの象徴であり、ポーランドの音楽シーンが生き生と輝き、多様性とポジティブなエネルギーに満ちていることを示しています。

ポーランドの文化プログラムの一環として、世界的に最も知られるポーランド発のエレクトロニック&実験音楽フェスティバル「Unsound」が、日本で初めて開催されます。新たなトレンドやアーティスティックな探求で評価されるUnsoundは、大阪の有名クラブにポーランドおよび日本のアーティストを招き、音楽とビジュアルを融合させた最先端のパフォーマンスを披露します。フェスティバルのプログラムには、アンビエント・ミュージックやテクノ・ミュージック、実験的なオーディオビジュアル作品まで、ポーランドのエレクトロニック・ミュージックのモダンな側面が紹介されます。

2025年大阪・関西万博では、ポーランドのジャズ・ミュージシャンも聴衆の心を掴んでいます。レシェク・モジジェルシルヴェステル・オストロフスキヤクブ・ミゼラツキらによる好評の公演に続き、優れたポーランド人アーティストが出演する大型ジャズイベントが待ち受けています。8月30日と31日には、ショパン・ウィークの一環として4つのコンサートが行われ、アルトゥル・ドゥトキェヴィチ・トリオRGGトリオアンジェイ・ヤゴジンスキ・トリオ、そして日波混成プロジェクトのLIS + Phewが、ショパン作品のジャズアレンジを披露します。

さらに、9月4日から9日にかけては、「Jazz from Poland in Japan 2025」のタイトルのもと、万博会場および大阪の梅田CLUB QUATROなどで、若手ジャズアーティストたちがパフォーマンスを行います。出演予定アーティストは、Sub Silento、Babooshki、Aga Derlak Trio、Dominik Wania、Maciej Obara Quartet、Tomasz Hiwa Quintet、EABS、Paulina Przybysz、Hoshiiなどです。また、著名なジャズピアニストであり作曲家・指揮者でもあるニコラ・コウォジェイチクが、2025年大阪・関西万博のために特別に作曲したジャズ・スイートを演奏します。

ポーランドのミュージシャンが、2025年大阪・関西万博で架ける文化交流の架け橋

大阪で開催されるフェスティバル形式・クラブ形式のコンサートは、ポーランドのポピュラー音楽を日本で本格的に紹介する初めての大規模プロジェクトです。

万博に出演する優れたアーティストは、文化的バックグラウンドを超えて聴衆に訴えかける力を持っています。彼らが表現する各音楽ジャンルは、それぞれ日本国内にもニッチな支持層を有しており、聴衆に新たな関心を呼び起こす可能性を秘めています。

日本の人々は、新しいサウンドに対してオープンです。芸術的な刺激を求める好奇心旺盛な観客たちは、予想外のインスピレーションにも積極的に反応しています。したがって、2025年大阪・関西万博はポーランドの音楽家たちの成果を披露する絶好の機会であると同時に、日本における長期的な音楽的存在感の確立に向けた出発点でもあると言えるのです。

Fot.: A. Stykowski / PAIH

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