万博会場で発表されたポーランドの革新 ― ASTOR社と川崎重工が教育用ロボット「Astorino」開発で提携

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2025年大阪で開催されたポーランド・日本投資フォーラムにおいて、ポーランドのASTOR社と川崎重工業株式会社が、教育用ロボット「Astorino」の開発および商業化に関する協定(MOU)を締結しました。クラクフに本社を置くASTOR社は、ポーランド投資・貿易庁の支援を受け、グローバル展開に向けて大きな一歩を踏み出しました。

2025年大阪・関西万博では、ポーランドの革新的な技術が幅広く紹介されています。ポーランド投資・貿易庁との協力により、ASTOR社は国際的な評価を高め、世界的パートナーとの戦略的関係をさらに強化しました。

ポーランド・日本投資フォーラムは、万博期間中に開催された経済イベントの中でも特に重要なもので、9月30日にASTOR社と川崎重工業の間で締結された覚書は、両国の技術的・経済的結びつきを象徴する出来事となりました。この提携は、ポーランドの技術的創造力と日本の精密なエンジニアリングを融合させる新たな段階を示しています。

ポーランド開発・技術省副大臣ミハウ・ヤロス氏は、次のように強調しました。
「この合意は、ポーランドと日本の協力全体にとって大きな意味を持つものです。両国の関係は、単なるビジネスを超え、品質・信頼性・革新性という価値観を共有しています。“Just in time”、“Kaizen”の哲学は、ポーランド経済にも強い影響を与えています。現在ポーランドは世界の20大経済国の一つであり、日本と共にエネルギー、半導体、防衛、宇宙技術などの分野で投資を進める好機です。不確実な時代だからこそ、私たちの協力は経済発展だけでなく、安定と安全保障の礎でもあります。」

覚書への署名式には、ミハウ・ヤロス副大臣のほか、ヤツェク・トムチャク 2025年大阪・関西万博ポーランド政府代表ウカシュ・グヴィアズドフスキ ポーランド投資・貿易庁副長官が立ち会いました。

ASTOR社と、川崎重工業株式会社のロボット部門であるKawasaki Roboticsとの協力は2007年に始まりました。ASTOR社は長年にわたり、日本のパートナーから学びながら自社の自動化・ロボット技術を発展させてきました。

ASTOR社副社長アンジェイ・ガルバツキ氏は、長年の協業を振り返り次のように語りました。
「私たちは18年間、川崎からロボット技術を学びました。そして今、『Astorino』という製品を通じて、ポーランドの技術を日本と共有できることを誇りに思います。これは長年にわたり築いてきた信頼関係の証でもあります。」

Astorino」は、教育用途に特化した6軸ロボットです。 特別なカーボンファイバー素材を用いた3Dプリント技術により、部品が損傷した場合でもSTLファイルを使って自分でパーツを再印刷できます。また、Kawasaki Roboticsの産業用ロボットと同じAS言語でプログラミングできるため、学習から実務へのスムーズな移行を可能にします。

このロボットはASTOR社R&Dチームのマレク・ニェヴィアドムスキ氏の主導のもと開発され、現在はポーランド国内の工業高校や工科大学で教育用に導入されています。Astorinoの導入により、学生は実践的なスキルを身につけ、産業ロボット業界で即戦力として活躍できるようになります。

Kawasaki Roboticsとの協力により、今後は日本市場を含む国際展開が期待されています。両社は次世代エンジニアの育成を目指し、ロボティクス教育と技術普及の使命を共有しています。

川崎重工業株式会社執行役員ならびに精密機械・ロボットカンパニーロボットディビジョン長坂東 賢二氏は、日本でのAstorino展開の可能性について次のようにコメントしました。

「ASTOR社とは長年にわたる関係を築いてきました。現在、ヨーロッパと日本の両方で直面している課題は、少子高齢化と働き手の不足です。そのため、次世代のロボットエンジニアを育成することが私たちの重要な使命の一つです。ASTORはポーランドでこの分野において確固たる地位を築いており、私たちはこの取り組みを日本でも発展させる大きな可能性を感じています。」

Fot.: A. Stykowski / PAIH

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