ポーランドパビリオン、2025年大阪・関西万博で金賞を受賞!

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ポーランドは、2025年大阪・関西万博におけるポーランドパビリオンの展示で、博覧会国際事務局(BIE)より金賞 を授与されました。

2025年10月12日、大阪・夢洲のEXPOホール「シャインハット」で行われた「BIEデー」授賞式において、ポーランドパビリオンは 中規模パビリオン部門(1,750㎡〜2,500㎡)金賞に輝きました。

受賞に際し、ヤツェク・トムチャク2025年大阪・関西万博ポーランド政府代表は下記の通りコメントを寄せています。

「ポーランドパビリオンに授与されたこの賞は、数々の大きな挑戦を伴ったこのプロジェクトが、大変な成功をおさめたことを示しています。私たちの文化遺産は、ポーランドというブランドを築き、最高の形で世界に示すためのかけがえのない価値です。そして我々はまさにそれを大阪で実現しました。受賞した展示をこれまでに100万人以上の来館者の皆様にご覧いただきました。私自身、ポーランドパビリオンの前に長蛇の列が絶えた瞬間を覚えていません。この成果は何よりも、国際博覧会におけるポーランドの参加プロジェクトを長年にわたり情熱を持って実現してきた芸術家、デザイナー、そして経験豊富なチーム全員の努力の賜物です。」

この受賞は、芸術・技術・科学・感情が交わる空間を創り出すために努力した多くの人々の功績を称えるものです。BIEの審査員団は、統一感があり没入感のある展示構成だけでなく、展示の独創性、そしてポーランドパビリオンのスローガンである「ポーランド。未来を切り拓く遺産」に込められたメッセージ性を高く評価しました。

ウカシュ・グヴィアズドフスキポーランド投資・貿易庁副長官は、受賞に際し次のように語ります。

「2025年大阪・関西万博は、ポーランド投資・貿易庁がポーランドの展示プログラムを実現する運営主体として大きな成功を収めた証です。この成果に貢献してくださったすべての方々 ― チーム、アーティスト、キュレーター、そして多くのパートナーの皆様に、心からの感謝とお祝いを申し上げます。この素晴らしい賞は、100万人を超える来場者、2つの経済フォーラム、そして多くのビジネス会談とともに、私たちの取り組みが最高水準の精度と国際的レベルで遂行されたことの証明です。」

さらに、エリザ・クロノフスカ=シヴァク2025年大阪・関西万博ポーランド政府副代表は次のように述べました。

「ポーランドパビリオンの展示は、私たちが当初から誇りを持って取り組んできたポーランドの万博参加の中心的要素です。それはポーランドを最も包括的な形で世界に伝えるものでした。国際博覧会オーガナイザーによって授与される最も重要な賞がポーランドパビリオンチームの手に渡り、それがポーランドの万博参加を締めくくるにふさわしい成果となったことを大変嬉しく思います。」

このBIE金賞は、まさにポーランドの創造性・情熱・専門性の結晶であり、大阪でのポーランドパビリオンの存在が、「遺産が未来を動かす」という理念を世界に強く印象づけました。ポーランドパビリオンの常設展示は、モニカ・ブランチュ(KAFTI)、エヴァ・キエルクロ、スタニスワフ・ケンパ(GDYBY)、ヴィエスワフ・バルトコフスキからなるキュレーター・チームによってデザインされ、自然素材と現代技術が融合されています。来館者は、インスタレーション「心象の緑」で自分だけのデジタル植物を創り出したり、「ポーランドの原風景」でAIが生成する風景の中に没入したり、アニメーション化された植物図鑑で7種類のハーブの力を発見したり、フリデリク・ショパンの音楽に着想を得た「オーラ」の音色に包まれたりすることができます。

「アーティストとの協働によって生み出されたこれらのインスタレーションは、遺産と未来、伝統と革新が交錯するユニークな空間を形成しています。私たちのコンセプトは、ポーランドの生きた遺産である“ハーブ”に基づいています。現代技術を繊細に取り入れることで、伝統やクラフトが“魔法のような”次元を獲得し、展示の主役は見るだけでなくパビリオンの空間を共に創り出す来場者自身となります。来場者は、圧倒されることなく、私たちのメッセージを本当に体感できるのです」と、コンセプトの制作者たちは語ります。

「博覧会国際協会(BIE)からの金賞受賞は、ポーランド投資・貿易庁のみならず、展示をデザインし創り上げた全てのキュレーターとアーティストにとっても大きな栄誉です。展示の制作には2年以上を費やし、特に日本人の来館者を意識して準備してきました。万博の開幕から半年を経て、私たちは『ポーランド 。未来を切り開く遺産』というテーマのもとに、文化、観光、経済のあらゆる側面からポーランドの魅力を美しく語ることができたと確信しています」と、2025年大阪・関西万博副代表であり、ポーランドの万博出展プログラムのコンセプト設計にも携わったマリア・オストロフスカ氏は述べています。

BIE受賞のほか、ポーランドパビリオンは体験デザインのオリンピックと呼ばれる体験デザイン機構(The Experiential Design Authority=TEDA)主催のアワードで、インスタレーション「創意の園」が銀賞に、展示全体が銅賞に輝いています。

大きな関心を集めたポーランドパビリオン。2025年10月までにすでに100万人以上が来館しました。その独特な建築、芸術的なインスタレーション、毎日開催されるコンサート、そして豊富な文化・経済イベントによって、万博会場の中でも最も人気のあるスポットの一つとなっています。

2025年大阪・関西万博は、2025年10月13日に閉幕しました。夢洲の会場では、161の国と地域、9つの国際機関を含む計170の参加者がそれぞれのパビリオンを展示しました。主催者の推計によると、大阪万博全体の来場者数は2800万人に達しました。

ポーランドの大阪・関西万博への出展実施を担当しているのは、ポーランド開発・技術省の管轄下にある公的機関、ポーランド投資・貿易庁です。

ポーランドパビリオンの常設展示

ポーランドパビリオンの見学ルートは、アーティストと共に創り上げたインスタレーションで構成されています。自然や伝統工芸からのインスピレーションと現代技術とが調和のとれた形で融合しています。各インスタレーションは、テクノロジーを繊細に取り入れながら、展示全体に「魔法」をかけています。来館者は、ポーランドのハーブの伝統に浸り、手仕事のぬくもりを感じ、さらには自然の移ろいそのものを体験することができます。これらの展示は多様な感情を呼び起こし、未来についての思索を促すものとなっています。

  • 心象の緑(Spirit Plant) ハーブの力とその治癒的な効果の世界へと来場者を誘う展示。来場者はインタラクティブパネルを使って、植物をバーチャル上で育て、育った植物をスマートフォンに保存したり、SNSで共有したりすることで、作品の共同制作者となる体験ができます。ビジュアルデザインはポーランドの自然科学スケッチの伝統を想起させるスタイル。インスタレーションの制作者はマルチン・イグナツ氏Variable.ioです。

  • 七草(Seven Herbs)「心象の緑」に隣接する、ポーランドの伝統において重要な7種のハーブを紹介するデジタルハーバリウム。それぞれのハーブにはアニメーションが施されており、特徴や民間療法における活用の歴史を視覚的に学ぶことができます。このマルチメディア教材は、古典的な植物画のアナログな美しさと現代的な投影技術とを融合させたユニークなものです。インスタレーションの入口付近には、大型の半透明スクリーンが設置されており、の7種類のハーブ(セントジョーンズワート・ミント・ヤロウ・レモンバーム・カモミール・セージ・イラクサ)について紹介する短編アニメーションが上映されています。音響演出には、自然界の特徴的な音と葉のかすかなそよぎを織り交ぜたサウンドスケープが使われ、展示の雰囲気を一層引き立てています。壁沿いには7種類のハーブを紹介する7つのタッチパネルが設置されており、パネルに触れるとその植物の成長過程や植物構造、古典的な植物画の一部を描いた短いアニメーションが再生されます。また、バーチャル上のハーブをタッチパネル操作で3Dで回転させることもでき、植物の細部を立体的に観察できます。カシャ・ヴァレンティノヴィチ氏、モニカ・ハヌラック氏、パトリツィア・ポドゥコシチャルニ氏がイラストを手掛け、展示全体ははScience Now and Juiceが手掛けました。

  • ポーランドの原風景(The Most Polish Landscape)シモン・ペプリンスキ氏ヴィエスワフ・バルトコフスキ氏による本展示は、人工知能と来場者の体験とを融合させた、インタラクティブなマルチメディア作品です。パノラマスクリーン上に、ポーランドの山岳地帯の頂、平地の草原、海辺の断崖といったさまざまな風景がリアルタイムで生成され、来場者の動きや位置に応じてスムーズに変化していきます。スクリーンの前での一挙手一投足が視覚表現のパラメータを変化させるため、まったく同じ風景が再現されることはなく、詩的なシークエンスの中で「風景が形づくられ、変容していく」体験を提供します。幻想的とも言える唯一無二の風景がその場で創造されるのです。この作品は、ポーランド各地で撮影された数千枚の写真を機械学習しており、既存の風景を再現するだけでなく、ポーランドの多様な自然の象徴ともいえる、理想化された新たな風景を創出することができます。

  • オーラ(Aura)自然素材、伝統工芸、そして最新のデジタル技術を融合させたインスタレーション。来場者の存在や動きに反応する、インタラクティブなオーケストラです。この作品の各楽器の中核を成すのは、ショパンゆかりの地であるジェラゾヴァ・ヴォラ周辺から採取された柳です。柳はフレデリク・ショパンと深い結びつきを持つ植物であり、そのしなやかな繊維構造と弾力性により、温かみのある有機的な音色を生み出します。この音色が、本作品の芸術的実験の出発点となっています。「オーラ」は、デジタル制御されたオーケストラのように機能します。接触式マイクとモーションセンサーが、観客の繊細な振動や動作を検知し、それらの情報を人工知能がリアルタイムで処理します。アルゴリズムが音の強弱・高低・音色を決定し、柳から独自の音を生成して、毎回異なる音響・映像のパフォーマンスを創り出します。ヴィエスワフ・バルトコフスキオルガ・ミルチンスカイェジ・ロギェヴィチの3名による作品です。

  • 歴世(Generations)「心象の緑」で来場者がバーチャル上で創り出したハーブを活用した、動的に進化するギャラリーです。来館者は、インタラクティブなデジタルパネル上で、象徴的な「シード(種)」の中から1つを選ぶことで、この作品に参加を開始します。種は、植物をモチーフにしたグラフィックで表現されており、「勇気」「好奇心」「協調」などの価値観や、葉の形・花弁の色といった形態的特徴を象徴しています。これにより来場者は、自身の想いや価値観を集合的なストーリーに意識的に組み込むことができます。選択された「シード」は、パラメトリック・アルゴリズムによって解析され、複雑な三次元植物モデルへと変換されます。こうして生成されたモデルは共有データベースに蓄積され、新たな「シード」が加わるたびに、インスタレーション全体も進化していきます。ハーブが結合されたり、枝や葉の比率が変化したりと、構成が徐々に豊かに、そして複雑に発展していくのです。このインスタレーションの作者はマルチン・イグナツ氏Variable.ioです。

  • 収穫前(Pre-Spring)森林植物学の長年にわたる研究と、作者自身による自然観察をもとに制作された作品で、植物のライフサイクルの中で、私たちが見落としがちな「何かが始まる予兆」に宿る儚い瞬間に光を当てた、詩的なアートインスタレーションです。制作者は、ウルシュラ・ザヨンチュコフスカ氏(SGGW大学教授)と、マウゴジャタ・マリノフスカ氏です。本作品は、まだ開きかけの芽、一枚だけ残った花びら、熟しきっていない実など、通常は見過ごされがちな「移り変わりの瞬間」に観客が目を向け、立ち止まることを促します。植物標本は、冬の終わりから晩秋にかけてのさまざまな時期に採取され、シリカゲルを用いて慎重に乾燥されました。これにより、立体的な形状や自然な色合い、微細なディテールまでもが保存されています。こうして保存された130種以上の植物標本は、透明な樹脂製の球体の中に封じ込められ、鑑賞者の目の前に静かに浮かび上がります。

  • 詩(Verses)言葉の力を詩的かつ空間的に表現するインスタレーション。文学と最新テクノロジーを融合させながら、来場者を「鼓動する詩」の一角へと誘います。パビリオン中央ホールの天井には、ポーランドの詩の一節が印刷された何百枚もの透明なアクリルパネルが吊るされています。古典詩人(アダム・ミツキェヴィチ、ユリウシュ・スウォヴァツキ)から現代詩人(チェスワフ・ミウォシュ、ズビグニェフ・ヘルベルト、ヴィスワヴァ・シンボルスカ)まで、幅広い世代の作品が取り上げられています。詩が印刷されたパネルは幾何学的な形状に配置され、来場者の頭上に「言葉の雲」として立体的に浮かび上がります。抽象的なその形は、言葉が空間に溶け込むような印象を与え、文学が持つリズムと重なり合う体験を生み出します。本インスタレーションには、バルバラ・クリツカ氏、クリスティナ・ドンブロフスカ氏、マウゴジャタ・レブダ氏、ウルシュラ・ザヨンチコフスカ氏、ヤクブ・コルンハウゼル氏、イェジ・ヤルニェヴィチ氏、そしてクシシュトフ・チジェフスキ氏の7名の詩人が参加しています。

  • ものの響き(Sound of Matter)共同体的な吸入(インヘレーション)の伝統に着想を得た、多感覚型の没入インスタレーション。光と音による没入的な要素を組み合わせ、来館者に瞑想と内省の体験を提供します。五感を刺激し、心身をリラックスさせるこの作品は、水の音と木の香りの中に浸る感覚をもたらします。ポーランドでは伝統的に、塩分を含んだ空気を発生させる塩の塔にはスピノサスモモが使用されますが、ポーランドパビリオンに今回展示されているこのインスタレーションでは、日本産のクロモジを使用しています。作品を制作したのは、学際的なアートコレクティブIP Groupです。

  • 雲(Cloud)ポーランドの民芸装飾「パヨンキ」に着想を得ています。これらは、ポーランド各地の手工芸の伝統に見られる吊り下げ型の装飾で、特に祝祭の時期に人々が協力して作り上げていました。カラフルな民俗造形をもとに創作されたこの空間的インスタレーションは、ポーランドパビリオンの窓と一体化しており、建物の外から見ても印象的な作品です。透かし構造を通して光が差し込むことで、立体的で生き生きとしたフォルムが光と戯れます。本作の作者はアーティスト ハンナ・スタノです。

  • やどり(Nest)ワルシャワのワジェンキ公園で行われるショパンの野外コンサートから着想を得た作品。ポーランドパビリオンの外に設置されたスタンドにワイヤレスヘッドフォンがあり、それを装着することで、ショパンの音楽の世界に浸ることができるという体験型の展示。演奏はピアニストのヤヌシュ・オレイニチャクによるもので、作品はフリデリク・ショパン国立研究所との協力によって制作されました。

  • サウンドスケープ(Soundscape)館内を流れるBGMは、ポーランドの自然の音風景—草原、水、雨、鳥のさえずり—です。これは、自然が奏でる音楽と人間が創り出した音楽とのつながりを強調するものです。自然音と作曲された音がショパンの音楽からのインスピレーションと融合し、来館者は「ポーランドの響き」の中に深く浸ることができます。ミハウ・ジグムントが制作しました。

Fot.: A. Stykowski / PAIH

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