ポーランド@Expo2025:日本の著名アーティストがマリア・スクウォドフスカ=キュリーに捧げるプロジェクトを発表

2025年6月15日より大阪にて、若手世代で最も注目される日本人アーティストの一人・笹岡由梨子によるマリア・スクウォドフスカ=キュリーに捧げるプロジェクトが本プロジェクトは、マリア・スクウォドフスカ=キュリーの物語を新たな視点から描き直すものです。
このプロジェクトは、アダム・ミツキェヴィチ・インスティテュートが主催し、ポーランド文化・国家遺産省の助成を受け、ポーランド投資・貿易庁が実施する2025年大阪・関西万博参加に伴う文化イベントシリーズ、「Po!Land ポ!ランド」の一部です。
マリア・スクウォドフスカ=キュリーは日本でもキュリー夫人として広く知られている人物です。彼女の伝記は学校の必読書に指定されており、その人物像は日本の教育や文化に多大な影響を与えています。笹岡由梨子は、ポーランド人クリエイターのダニエル・コニュシュ、トマシュ・コシェヴニクと協働し、これまで固定化されていた「記念碑的」なノーベル賞受賞者であるマリア・スクウォドフスカ=キュリーのイメージを刷新します。この展示では、マリア・スクウォドフスカ=キュリーを移民であり、社会活動家であり、時代を先取りしていた多面的な人物として捉え、「キュリー夫人」という呼称からの脱却を象徴的なジェスチャーとし、彼女本来の個性と主体性を回復させる試みです。科学だけでなく、政治・社会・文化の境界線までもを越えていった一人の女性の姿を描いています。
展覧会タイトルとなっている「ポロニア」は、マリア・スクウォドフスカ=キュリーが発見した化学元素「ポロニウム」と、国境を越えて人々や物語、場所をつなぐポーランドのディアスポラを指しています。笹岡由梨子のプロジェクトでは、「移動」というテーマが、思想や感情の流動を象徴するメタファーとして描かれます。
「マリア・スクウォドフスカ=キュリーの伝記と自らの体験を重ね合わせ、個人の物語や共同行動、ポーランド文化への言及を交えた、視覚的・意味的パッチワークのような多層的インスタレーション、すなわち「関係性の実験室(Relational Laboratory)」を構築します。身体、声、ポーランド滞在中の映像、家族と共に制作した刺繍や木版画などを用い、笹岡はケア、継承、共生といった物語を紡ぎます。このプロジェクトは、マリア・スクウォドフスカ=キュリーの伝記に情感を取り戻させるのみならず、現代における共同体や移動の意味や、芸術が出会いの場として果たす役割について問いかけるものです」と展示キュレーターのパヴェウ・パフチャレク博士は述べます。
「ポロニア × キュリー・マジック・ラボ ―移動の力―」展のオープニングセレモニーは6月20日に行われ、2025年国際博覧会におけるポーランドの参加に際し実施される「Po!land ポ!ランド」のイベントシリーズの幕開けを飾ります。当日は笹岡由梨子、ヨアンナ・ハヴロット、マルタ・ジウェク、辻井美穂によるパフォーマンスプログラムも予定されています。
アーティスト:笹岡由梨子、キュレーション:パベウ・パフチャレク教授、撮影:トマシュ・コシェヴニック、協力: E-Design、PHD Group、Tama Plants、ダニエル・コニウシュ、パートナー: ワルシャワ・マリア・スクウォドフスカ=キュリー博物館、産業教育振興財団、大阪市
「Po!land ポ!ランド」 ― 2025年大阪・関西万博でのアダム・ミツキェヴィチ・インスティテュート文化プログラム
2025年4月13日、大阪にて3回目の日本開催となる国際万国博覧会が開幕しました。これに合わせて、アダム・ミツキェヴィチ・インスティテュート(IAM)による特別文化プログラム「Po!land ポ!ランド」が開催されています。本プログラムは各国パビリオンの枠を超え、大阪の街中で展開されています。
「Po!land ポ!ランド」という企画名は、日本語の擬音語「ポ!」に着想を得ています。これはひらめきやポジティブな驚きを表す言葉であり、また、マリア・スクウォドフスカ=キュリーが発見した元素「ポロニウム」とも呼応します。イノベーション、科学、そして境界を越える精神の象徴です。「ランド」は英語の「land」に由来し、「Po!land ポ!ランド」はアイデアの交換、文化の出会い、相互のインスピレーションが生まれる場なのです。
EXPO2025での文化プログラムにおける、ビジュアルアート
5月31日から、関西を象徴する歴史あるデパートの大丸心斎橋店にて、ヨアンナ・ヨアンナ・ハヴロットによる展覧会「ウェアラブルアートー見えざる糸」が開催されています。ファッション作品、芸術的テキスタイル、ニューメディアを駆使した壮大なインスタレーションで、8フロアにわたって展開。ポーランドの芸術織物の伝統と日本の美学を融合させ、「アイデンティティ」と「可視性」をめぐる異文化対話を描きます。展示には、マグダレナ・アバカノヴィチ、ヴォイチェフ・サドレイ、アンジェリカ・マルクルの作品やポーランド織物芸術学校の伝統に触発されたオリジナル作品も含まれています。
3月30日からは、大阪府茨木市の街なかで「野原の上で On the field」展が開催中です。SOU #15プロジェクトの第1弾として、日本人キュレーターがポーランドの女性作家エディタ・フルとルジャ・リトヴァを招へい。高さ2.5メートルに及ぶ大型プリント作品が駅構内を彩り、日常風景に意外性をもたらします。第2弾は6月28日にスタートし、貸館業務を終了た茨木市福祉文化会館をギャラリーとして活用し、展示が行われます。
さらに詳しい「Po!land ポ!ランド」に関する情報は、https://culture.pl/jpでお読みいただけます。
アダム・ミツキェヴィチ・インスティテュートは、ポーランドの文化と世界中の人々をつなぐ役割を担っています。国立機関として、ポーランドの文化・芸術への持続的な関心を育み、ポーランド人アーティストの国際的な存在感を強化しています。革新的なプロジェクトを立ち上げ、国際的な協力や文化交流を支援。著名なアーティストだけでなく、将来有望なクリエイターの活動も紹介し、ポーランド文化の多様性と豊かさを発信しています。また、IAMはポーランド文化に関する包括的な情報源であるウェブサイト、Culture.plも運営しています。
メディアの皆様:
写真ならびにプレス資料はこちらからダウンロードいただけます。