伝統と革新が渦巻く場所―大阪に誕生した壮麗なポーランドパビリオン

ポーランドは、2025年大阪・関西万博に向けて、極めてユニークな建築コンセプトを提案しました。木材で構成された螺旋状のポーランドパビリオンは、日本の伝統的な「木組み工法」に着想を得ています。この建築は、創造性の象徴であると同時に、ポーランドと日本の文化を結ぶ架け橋でもあると同時に、ポーランドパビリオンのスローガンである「未来を切り拓く遺産」を体現しています。建物内部の展示も含め、訪れる人々に美しさだけでなく、ポーランド人アイデンティティとポーランドのテクノロジーに関する奥深い物語を届けています。
ポーランドは2025年の大阪・関西万博で、約1,000平方メートルの特別なナショナルパビリオンで展示を行っています。このパビリオンの設計を手がけたのは、アリツィア・クビツカとボルハ・マルティネスからなる建築家ユニット「Interplay Architects」です。彼らは長年にわたり、世界的に著名な日本の建築事務所である隈研吾建築都市設計事務所で経験を積んできました。また、今回のプロジェクトにはKomy Studioの建築家、行本昌史氏も協力しています。デザインプロジェクトは2023年にスタートしました。
設計者によれば、インスピレーションの源は「螺旋」という形状にありました。螺旋は古くから自然界のさまざまな場面に存在し、人類を魅了し続けてきた象徴的な形です。そして螺旋は、2025年大阪・関西万博におけるポーランドのビジュアル・アイデンティティの中心的なモチーフにもなっています。
「私たちは当初から、木工芸術の日本文化との結びつきにフォーカスし、極めて高い品質と職人技で知られる日本の伝統に敬意を表したいと考えていました。その探究の成果として、木造モジュールによる豊かで躍動感あふれる質感を備えた動的な螺旋構造が生まれました」
– 共同設計者のアリツィア・クビツカ氏は語ります。
パビリオンの建設を手がけたのは、株式会社ナガシマ、JSC株式会社、FINASI SPI JV TURNKEY PROJECTS CONTRACTING FZCO社(アラブ首長国連邦)からなる国際的なコンソーシアムです。使用された木材は日本産で、設計者によると、持続可能な設計の一環として地元の素材を活用することに重きを置いたとのことです。
パビリオンの形状は、ポーランド人の創造力と革新性が国境を越えて広がっていく「波」を象徴しています。そして、日本とポーランドに共通する文化遺産へのオマージュとして、伝統的な日本の木組み技法が取り入れられています。
「木組み工法」とは、木材を精密に切削・加工し、釘や金属をほとんど使わずに木材同士を組み合わせて骨組みを形成する伝統的建築技法です。この工法は、釘を使った構造よりも地震に強いとされており、地震が多発する大阪・関西万博の立地条件を考慮し、実用的な観点からも採用されました。
設計チームは、ポーランドと日本、それぞれの文化的インスピレーションを精密に融合させました。木工芸への愛着と高い職人技は両国の伝統に深く根ざしており、それがファサードの細部にまで反映されています。木造モジュールで構成されたファサードの質感は、見る角度によって表情が変化し、日本の伝統的な寺院や、ポーランドの古い教会建築を思わせる視覚的効果を生み出しています。
また、パビリオン周囲に様々な通りがあることから、どの方向から見ても印象的な外観を保てるファサードの形状が用いられました。複数の高さの木製屋根は、空から見ても、万博会場内のプロムナードから見ても視認性が高く、その独創的なフォルムによって人々の注目を集める存在となっています。






