マウォポルスカの躍動、2025年大阪・関西万博へ ― 伝統・音楽・イノベーションにあふれた一週間

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2025年大阪・関西万博でポーランドパビリオンは2025年8月10日から16日まで、自国の伝統、芸術、自然の真髄であるマウォポルスカ地方を紹介しました。五感で楽しむ旅へ来場者を誘ったマウォポルスカ・ウィーク。削りたての木の香り、ヴィエリチカ岩塩坑で採掘された岩塩の特別な味わい、古典音楽の優雅さ、そして山岳音楽のエネルギッシュな色彩と響きまで楽しめる1週間でした。

「Małopolska – For Those Who Feel More」というスローガンのもと、ポーランドを代表する地域であるマウォポルスカは、ポーランドパビリオンにおいて観光・文化の魅力とモダンで革新的な産業力を披露しました。

マウォポルスカ・ウィークの初日である8月11日は、ポーランド「山の日」でもありました。これは日本の山の日にインスパイアされたイベントでした。近年、日本からの観光客にとってタトラ山脈やザコパネはますます人気の旅行先となっています。マウォポルスカ・ウィークは、マウォポルスカ地方が独自の木造建築やポトハレ地方特有の空気感によってヨーロッパの他の場所ではできない体験を提供することを証明しています。マウォポルスカ地方は、日本人が旅行先を選ぶ際に重視する項目の一つであるユネスコ世界遺産が多く所在している点においても特徴的な地域であです。

マウォポルスカ・ウィーク中に開催されたプログラムは、老若男女を問わず楽しめる内容で構成され、伝統工芸ワークショップや木工玩具の絵付け、ガラス絵画、岩塩を使ったアートやバスソルト作りなど、多彩な体験が来館者を魅了しました。特に、岩塩彫刻の実演ではヴィエリチカ岩塩坑の塩から桜の花や武士像が彫り上げられ、観客を驚かせました。

ワークショップエリアでのマウォポルスカの工芸体験

ポーランド・パビリオン前のワークショップエリアでは、1週間を通じて手工芸ワークショップが開催され、マウォポルスカの伝統工芸に触れることができました。ワークショップ参加者は刺繍、伝統的なペーパーフラワー作り(伝統の花束)を体験しました。さらに、地域に根差したアクセサリーとして古くから受け継がれてきた首飾り(マウォポルスカの心がこもった首飾り)作りも体験することができました

ワークショップ「ストリシャヴァのおもちゃの世界」では、彫刻家による指導のもと、マウォポルスカ地方特有の木製玩具(かわいらしい木馬や小鳥)を手作業で絵付けしました。また、職人による木彫りの実演も披露されました。さらに「ポトハレのガラス絵画」ワークショップでは、ポトハレ地方に特徴的な伝統技法であるガラス絵画に挑戦するまたとない機会となりました。

ワークショップ終了後、参加者は自分で作った作品を持ち帰ることができました。この作品は素晴らしい思い出となると同時に、マウォポルスカを訪れ伝統をより深く知るための招待状ともなりました。

手工芸ワークショップは、アートセラピーの技法の一つとしても位置づけられており、これはまた、2025年大阪・関西万博におけるポーランドパビリオンのテーマ「いのちを救う」とも関連しています。メンタルヘルスをめぐる議論におけるポーランドのメッセージであり、同時に「ポーランド。未来を切り拓く遺産」というポーランドの大阪万博テーマとも一致するものでした。

塩と踊りのマジック ― 実演と公演 

訪れた方々の大きな関心を集めたのは、「塩のマジック」というタイトルのパフォーマンスでした。才能ある彫刻家が、ヴィエリチカ岩塩坑から運ばれた塩の塊を、日本文化に関連したユニークな芸術作品へとゲストの目の前で変貌させました。

「ヴィエリチカから直接運んだ特別な塩を大きな塊のまま持ってきて、その場で日本文化をテーマにした彫刻、例えば武士や桜の彫刻などを制作しました。塩彫刻の伝統を日本文化と結びつけたかったのです。また、日本の皆さんに、私たちの『白いゴールド』を体験してもらえるよう、小さな塩の塊も持参しました」と彫刻家の一人が語りました。

さらにワークショップ「香りの塩」では、ポーランドパビリオンを訪れる方々がヴィエリチカの塩と周辺地域のハーブを使ってオリジナルのバスソルトを作りました。

ヴィエリチカ岩塩坑は、1978年に世界で最初にユネスコ世界遺産に登録された場所の一つで、万博においても特別な存在でした。ヴィエリチカの地下都市は、塩で掘られた広間、塩の湖、荘厳な聖キンガ礼拝堂などを擁し、世界中から数百万人もの観光客を惹きつけています。

マウォポルスカ・ウィークの期間中、ポーランドパビリオンではヴィエリチカ岩塩坑の歴史と象徴性が大きくフィーチャーされました。特にイベントのために、鉱夫であり彫刻家のヤン・バナシがユニークな作品「ポーランド王の王冠」を制作しました。ヴィエリチカの塩で作られたこの作品は、岩塩坑とポーランド史との切っても切れない関係を強調し、初代ポーランド国王ボレスワフ1世の戴冠1000周年を記念するものです。この「ポーランド王の王冠」の公開は、万博会場でポーランドの千年の歴史を祝い、来場者に同国の物語を伝える貴重な機会となりました。

マウォポルスカ・ウィークの間、ポーランドパビリオンと万博会場内のステージは音楽と踊りで活気に満ちました。ミストコヴィアニェ民族舞踊団が、ポグジャンやラフ・ソンデツ、そして最も有名なポーランド舞踊であるクラコヴィアクを情熱を込めて披露しました。

ダンスレッスンでは、皆さんにポロネーズやポルカに挑戦いただきました。ミストコヴィアニェ民族舞踊団の5名のパフォーマーによる生演奏コンサート『カルパティアの躍動』は、マウォポルスカの本物のエネルギッシュな雰囲気へと聴衆を引き込みました。

圧巻のコンサート:民俗音楽からクラシック、ロックまで

マウォポルスカ地方は、長きにわたり音楽家を刺激してきました。万博では、その豊かな音楽遺産が幅広く紹介されました。

ポーランドパビリオン前の野外ステージには、ゴルツェ山脈出身のファミリーバンド「サガ」が登場し、伝統的な山岳音楽を披露しました。さらに、伝統的な山岳音楽を現代のロックサウンドと融合させた革新的プロジェクト「Saga Gooroleska – Highland Voice of the New Wave」を発表しました。

ショパンとマウォポルスカ民俗音楽の夕べ

マウォポルスカ・ウィークの特別なハイライトは、8月13日・14日の20時からポーランドパビリオンホールで行われた『室内楽のショパン』コンサートでした。フリデリク・ショパン国際ピアノコンクール入賞者ヤクブ・クシュリクが出演し、ショパンの名曲の独奏や室内楽編成での協奏曲演奏を披露しました。さらに、スタニスワフ・モニューシュコユゼフ・ヴワディスワフ・クログルスキといった、ポーランド民俗音楽から着想を得た作曲家の作品も演奏し、観客を魅了しました。このような大物ピアニストの存在は、ポーランドパビリオンにとって大きな栄誉であり、来館者にとっても祝祭のような出来事でした。コンサートは観客の大きな関心を呼び、熱心な音楽愛好家を集めました。

また、ミストコヴィアニェ民族舞踊団クラクフフィルハーモニー交響楽団のカルテットによる民俗音楽コンサート「Feel More with Małopolska Region」は、民族色豊かなフォークとクラシックの響きを見事に融合させ、数百人の観客を魅了しました。

世界での認知度向上を狙うマウォポルスカ地方

「マウォポルスカが2025年大阪・関西万博で積極的に活動し、存在感を示せたことを嬉しく思います。特に力を入れたのは、観光分野です。より多くの万博来場者に、マウォポルスカにはどれほど多くの魅力があるか、そしてどんな素晴らしい世界遺産が存在するかを知ってもらおうと努めました。また、この機会を通じて投資家や先端技術との出会いも期待しています。マウォポルスカという地域を日本、そして世界の皆さんに認知してもらいたいのです」マウォポルスカ県知事ウカシュ・スムウカは、このように述べました。

マウォポルスカ県の県庁所在地であり、かつてのポーランドの首都であったクラクフは、マウォポルスカ・ウィーク中に「クラクフの日」を開催しました。この日には、ポーランドパビリオンのテラスで毎正時に、クラクフの聖マリア教会の塔から響く有名なヘイナウが演奏されました。

マウォポルスカ・ウィーク期間中、2万8219人がポーランドパビリオンを訪れました。

  • ワークショップには1548人が参加しました
  • リサイタルには1050人が参加しました
  • ヤクブ・クシュリクの2回のコンサートには100人が参加しました
  • 屋外ステージでのパフォーマンスには800人が足をとめました
  • ポーランドパビリオンレストランには約3850名が訪れました

マウォポルスカ地方は、エネルギー、スケールの大きさ、優雅さ、そして大きな心をもって、2025年大阪・関西万博でその魅力を存分に発揮しました

Fot.: A. Stykowski / PAIH

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